今回は某漁船緊急接岸です
何の修理かというと
もう少し寄って見ると、喫水下(通常水に浸かる部分)まで損傷しているようです
実際の損傷は上架してみないと不明です
この状況で損傷している部分(魚層)を見にいってみます
いざ魚層の所に行ってみると、何と階段から魚層となっているはずが、上から覗いただけですが、魚がいるのではなく、海水が見えています
この状況で確実に水に浸かってる部分も損傷していることが推測されます
ココに注意
必要に応じて上架前にポンプで海水を抜く作業を行う
いざ上架してみると損傷部分があらわになりました。
まずは現状確認です
幸いの事に魚層部がバルクヘッド(隔壁)になっていた事です
要は一つの場所としてなっていたので機関室等他に水が浸入しなくて幸いでした
各部詳細を確認作業含めて、ダメージプラン(現状損傷図)とリペアプラン(修理図)を製作する必要が今回はあります
まずは各部必要な骨材等寸法を計測していきます
各部の詳細な図面がある場合にはそれほど必要ないのかもしれませんが、場合によっては一部図面がなかったり、全く図面がないとなると、使用材料や機器類の配置等も含め、かなりの時間をかけて作業となります
寸法確認後AutoCadにて図面製作していきます
これはもちろん船主や検査時に提出(説明含)しなければならないので、必要です
もちろん現場作業員にも渡さなければなりません
今回は船殻図面がないとの事なので、まずは左舷側(修理しない方)の型枠を製作していきます。
イメージではこの反対側を型枠の逆として工事するといった所でしょうか?
少し簡略してますが、次に右舷側へ型を合わせていきます
下記は魚層内部より船主側方向へ見ての一枚です
この段階でまずは型枠の曲線等を現物合わせて確認します
型微調整や修正もここで何度も確認します
これも魚層内部左舷側から右舷側を見てという所です
また型枠だけなので、スケスケです
内部はもちろんサンダー掛け等の作業は終わってます
型枠確認したら、次はFRP積層作業です
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このままではFRP積層出来ないので内側にベニヤを張っていく
再度型枠を合わせます
ようやくポッカリと開いた開口をただ抑えた(見た目では塞いだ)だけといったところでしょうか
続いてパテ作業に移ります
内部、外部と同時進行で作業は進んでいきます
作業後時間を置いて乾燥させて、その後仕上げをしていきます
FRP材料準備(マット、ロービングや樹脂やローラーなど)しておきます
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FRP乾燥時間短縮の為に硬化剤を一緒に使用する場合あり
マットやロービングは何層(何枚貼るか)になるかは施工方法などにより変わります
いよいよ積層作業です
積層中です
内部も同じように作業していきます
場所によってはウレタンを使用している所もありますので、ウレタンも必ずカットした後は現物寸法合わせ確認です
ウレタン部分ももちろん積層作業をしていきます
段々と各箇所が姿となって復活してきました
最初の時にお見せした魚層内部側面です(右写真)
ポッカリと穴が開いていた場所です
上記左側の写真の続きです
少し前には壁がなく開いていた部分です
FRP作業が進む中、一方電気関係も海水侵入で配線や配電盤がやられることもあります
これは配電盤取り外し前の姿です
どんどん交換部品や配線は取り外していきます
その後新しく電線関係の引き込みや配電盤も新しくしていきます
絶縁抵抗計測も行います
電流が流れる電路における電路相互間及び電路と大地との間の絶縁性(電流が漏れない性能)のこと
このように各部電気関係の工事も進んでいきます
残りは大きい所で言えば塗装作業です
最終的には喫水下と上でもちろん色が変わるのですが、その前にタッチアップや下塗りなどの作業があります
これで完成です
後は内部復旧作業等を行い、下架の準備に移ります